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うやもや病に侵される日本人

福島第1原発事故の責任を問う裁判で、東京地裁は東電旧経営陣3被告に無罪判決を出しました。
この判決によって、現在も被害が続いているあの事故の責任を取る人は誰もいなくなりました。
少し時期が過ぎれば、「うやもや」に出来てしまう日本の気質。「うやもや病」を治さないと。

(裁判についての記事は最後に紹介しています)

誰かに責任を取らせ、罰することで「被害者感情」を収めようという、感情的な責任追及はよくありません。
それはどんな理由があれど、結局のところ「お返し」の精神に由来するからです。
それの行きつくところが死刑制度です。
これを私はいいと思っていません。
それと、今回の無罪に異議を持つ私の感情は違います。
この無罪が通れば、原発を無くす、減らす、動きは閉ざされてしまうでしょう。一部の人間の思うつぼです。それはなぜか?
これはオープンブログでは語らない方がいいでしょう。自粛します。

人が動く原動力は、「利益とリスクの査定」によるものです。
例えば、、
リスクがなく利益だけを得られるのなら、当然誰でも手を出すでしょう。
100万円の利益を得る為のリスクが、もし命と引き換えなら当然誰も手を出さないでしょう。
これは誰でも分かる簡単な例えです。
つまり人の行動は利益とリスクの天秤です。

では、世界的に原発ゼロの運動が高まっている中で、原発を維持し増やそうとする人たちの思惑は何でしょうか。
もちろん、莫大な利益を得るからです。
その莫大な利益には、莫大なリスクが伴うことが福島原発事故で明確になったのです。
が、この判決で、リスクはなくなったのです。少なくてもその可能性の前例をつくってしまったのです。
反対の声をあげなければ、一部の権力の好き勝手にさせてしまいます。それを日本人は黙認する、つまり容認することになってしまいます。

多くの人命、その後の人たちの健康被害、安全と安心という日本ブランドの消滅、数十年続く廃棄処分にかかる莫大な費用(すべて国民の負担になります)など。
そして、多くの反対があったにも関わらず、これを推し進めてきた企業や政府が、誰も責任を取らない。何も無し。
こんな事がまかり通ったら、リスクは国民の命と未来の日本のみ。直接利益を得てきた人たちにはリスクがないということになってしまいます。
冒頭でも言ったように、誰かに責任を取らせたいのではありません。
未来の日本に、子供たちの未来に、教訓を残したいだけです。
原発によって莫大な利益を得てきた企業が、こういう事故の際には莫大な責任を問われることが明確になるからこそ、そこには自粛が起きたり、躊躇-ちゅうちょ-が起きて、リスクの高い原発の拡散を防ぐことになるのです。
そもそも、世界中の専門家が指摘するように、地震大国の日本に原発はリスクが高すぎるのです。
専門家の言葉を借りれば、日本に原発を「作ってはいけない」のです。
この事故は、原子力トラブルの深刻度を示す国際評価尺度では、チェルノブイリ原発事故(1986年)と並ぶ最悪の「レベル7」に認定されたことをもっと深刻に受け止めなければなりません。
にも関わらず、誰にも責任が問われないという前例を作ってしまったら、どういうことになるでしょうか。
日本、大丈夫ですか?

 


裁判の焦点はこちらです

海抜10メートルの原発敷地より高い津波が押し寄せて事故が起きることを予見できたのに、原発の運転を漫然と続け、「双葉病院」と介護老人保健施設「ドーヴィル双葉」から避難を余儀なくされた入院患者ら44人を死亡させるなどしたとされた。
3人が津波による事故を予見し、事故を回避できたと言えるかどうかが最大の争点となった。
検察官役の指定弁護士によると、東電は08年3月、政府の地震調査研究推進本部が公表した地震予測(長期評価)を基に「最大15.7メートルの津波が原発に襲来する可能性がある」との試算を子会社から受け取った。

勝俣元会長も09年2月、最高経営陣が出席する通称「御前会議」で、担当部長の「14メートル程度の津波が来るという人もいる」との発言を聞き、武黒元副社長も同年4~5月、担当者から試算の報告を受けた。
指定弁護士は、武藤副社長が対策を先送りせず、津波の報告を受けた3人が適切に情報収集していれば、津波による原発事故で死者やけが人が出ることを予見できたと主張。津波対策が完了するまでの間、原発の運転を停止していれば、事故は回避できたと訴えた。
一方、弁護側は、長期評価の信頼性は低かったと反論した。政府の中央防災会議や同業他社も長期評価に基づく津波対策を講じていなかったと指摘。長期評価は、原発の運転を停止する根拠としては不十分で、事故は予見できず、回避もできなかったと主張した。

これに対し東電は「コメント差し控える」と。

2011年3月11日の東日本大震災に伴って、福島県双葉町と大熊町にまたがる福島第1原発に最大約15.5メートルの津波が押し寄せた。原発は全電源を失って原子炉を冷却する機能を喪失し、核燃料の温度が上昇。発生した水素が原子炉を覆う建屋に充満した結果、1、3、4号機の建屋内で爆発が起き、放射性物質が大気中に飛散した。原子力トラブルの深刻度を示す国際評価尺度では、チェルノブイリ原発事故(1986年)と並ぶ最悪の「レベル7」とされた。


 

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