ふと、目に留まった第二次世界大戦での特攻隊員の手紙。
送り先は、やはり母親へ。
明日、死んでいくと分かっていながら過ごす一晩は、いったいどんな気持ちだったのでしょう。
運命に身を任せ、権力の前にどうする事も出来ない若者は何を想うのか。
お母さん、とうとう悲しい便りを出さねばならない時が来ました。
晴れて特攻隊員に選ばれ出陣するのは嬉しいですが、
お母さんのことを思うと泣けて来ます。
母チャン、母チャンが
私を頼みに必死で育ててくれたことを思うと、
何も喜ばせることが出来ずに、
安心させることも出来ずに、
死んでゆくのが辛いです。
母チャンが私にこうせよと言われたことに反対して、
とうとうここまで来てしまいました。
私として希望通りで嬉しいと思いたいのですが、
母チャンの言われるようにした方が良かったかなあと思います。
でも私は技倆抜群として選ばれたのですから喜んでください。
私ぐらいの飛行時間で第一線に出るなんて、
本当は出来ないのです。
ともすれば、
母チャンの傍に帰りたいという考えに誘われるのですけれど、
これはいけないことなのです。
洗礼を受けた時、アメリカの弾に当たって死ぬより前に、
汝を救うものの御手によりて殺すのだと言われましたが、
これを私は思い出しております。
全てが神様の御手にあるのです。
神様の下にある私たちには、この世の生死は問題になりませんね。
私はこの頃、毎日聖書を読んでいます。
お母さんの近くにいる気持ちがするからです。
私は聖書と賛美歌を飛行機に積んで突っ込みます。
お母さんに祈って突っ込みます。
出撃前日
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